石川県金沢市の郷土料理・ご当地グルメ
治部(じぶ)煮は、古く江戸時代から石川県に伝わる郷土料理で、お正月はもとより、祝いの席に欠かせない料理です。
治部煮は、鴨肉や鶏肉の切り身に片栗粉をまぶしたものを、麩とせりなどの野菜を出し汁で煮て、そこに薬味のわさびを添える椀物です。片栗粉がポイントで、これが肉のうまみを閉じ込めて、だしに適度なとろみをつける役割をしています。
治部煮の発祥には諸説があり、能登や加賀の山里で獲った野鳥を食用にする習慣があったので、そこから生れたという説があります。また、加賀藩にいたキリスト教の宣教師が考案したという説もあります。
発祥の説はともかくとして、旬の野菜とたけのこやれんこんなどの、いわゆる加賀野菜を材料とする治部煮は、四季それぞれの旬が口で楽しめる石川県の郷土料理として、全国に知られ、広まっています。なお、治部煮は、お正月以外にも結婚式などの祝いの膳には欠かせない椀物になっています。
治部煮の材料は、何と言っても味がしっかりしている能登鴨で、ほかには加賀生麩、すだれ麩、紅葉麩、さらに加賀丸芋、百万石椎茸、ごぼうと、適量の小麦粉と わさび、それに下ごしらえ用のだし汁です。なお、出汁は、だし汁、しょうゆ、酒、みりんと砂糖です。
治部煮の作り方はというと、、っまず丸芋とごぼうを下茹でして、 鴨以外の材料にだし汁を煮含ませておきます。
調味料で作った出汁に、小麦粉をまぶした鴨入れ、火を通してから 一度鴨を取り出して、残った材料を鍋に入れて火を通し、そこへ度鴨を入れて、火を通してから器に盛り、わさびを添えると出来上がりです。
治部煮の特徴は、とろみのある小麦粉の餡にわさびを添えることで、そうすることで、濃厚な味わいになるので、日本酒とよく合います。
ご飯のおかずにも良く、日本酒の友としてもぴったりの味は石川県だけではなく、全国のどこででも喜ばれています。
それにしても、治部(じぶ)煮という名前の意味はどういうことなのでしょうか? 一般的には、豊臣秀吉に仕える岡部治部右衛門という人物が、朝鮮から持ち込んで来たからその名前からとも、材料をじぶじぶと煎りつけるので「じぶ」という名が付いたともいわれています。
ちなみに、治部煮発祥の石川県出身の有名人を見ますと、2020年東京オリンピックのために重責を担っている元内閣総理大臣の森喜朗(第85・86代内閣総理大臣)は能美市(旧根上町)出身で、西田哲学で知られる哲学者の西田幾多郎、第54代横綱の輪島大士は七尾市出身です。
それぞれがその道で名を成した人たちですが、もちろん治部煮は大好物のはずですね。
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